【村上春樹】村上春樹『一人称単数』
【村上春樹】村上春樹『一人称単数』
【概要】
◆ 今年もノーベル賞の季節になりましたが、一部で若干騒がれている、ノーベル賞文学賞に村上春樹が
受賞するかネタ。もういいよという感じですが、そもそも、村上さんはノーベル賞系の作家でしたか?
自分にとっては、常に、ユーモラスな作風の変なテイストの作家というイメージでした。
何だかんだで、村上さんが書き始めて、「風の歌を聴け」も比較的早く読んでいたけれど、
『映画をめぐる冒険』『やがて哀しき外国語』『遠い太鼓』とかが大好きです。
夏のビーチで読むみたいな・・そんなときは村上春樹という感じでした。
もちろん、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』も好きだし、
『騎士団長殺し』だって面白かったです。
どの作品も、『ザ・村上春樹』で、これは好きな人は好きだし、そうじゃない人はいやなんだろうなと
同情しちゃいます。 こんなに面白いのに。
この短編集は、
いわゆる村上春樹の短編集ぽさがある作品や、「ウィズ・ザ・ビートルズ」の不思議な感じや
「ヤクルト・スワローズ詩集」の村上朝日道的世界に笑わされる、やはり読んでよかったです。
アマゾンの内容紹介から。
6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集
「一人称単数」とは世界のひとかけらを切り取る「単眼」のことだ。しかしその切り口が増えていけばいくほど、「単眼」はきりなく絡み合った「複眼」となる。そしてそこでは、私はもう私でなくなり、僕はもう僕でなくなっていく。そして、そう、あなたはもうあなたでなくなっていく。そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 「一人称単数」の世界にようこそ。
収録作
「石のまくらに」「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」「『ヤクルト・スワローズ詩集』」「謝肉祭(Carnaval)」「品川猿の告白」(以上、「文學界」に随時発表)「一人称単数」(書き下ろし)
【ここがポイント】
■1.「そうだよ、私だってまだものごとを開始したばかりだった」とバードは言った。
自分が書いた架空のチャーリーパーカーのレコード批評。
そのレコードをNYの中古レコードで見つけてしまうが、
あまりのことに、その場では下らない冗談と思って買わなかったが、ずっと気になって(そりゃ、気になるだろ)、
もう一度行くがもうなかった。
話はそれで終わらず、チャーリー・パーカーが夢に出てきて、上記のように言ったのだ。
チャーリーは34歳で薬物中毒で亡くなるが、そう、34歳なのだ。早すぎでしょう。
■2.ぼくは自分のことで頭がいっぱいになってたのかも
しれん。
妹の命を救うことはできなかったかもしれんけど、何かを少しでも分かってやることはできたはずや。
ウィズ・ザ・ビートルズ より
説明しがたいので省きますが、彼女のお兄さんとふと会話し、数十年後、お兄さんと再会する。
しかし、彼女は自殺してる。あらすじだけ話すとそういう話。
でも、何かが残る。
そんな作品。適当な感想だが。
【感想】
◆申し訳ないが、村上春樹を期待して待つという事はもうなくなってしまったが、でも、やはり、楽しい。
この文章のリズムや、ユーモアがたまらない。
出来不出来にかかわらず、無条件で、ワクワクする作家というのは一生のうちでもそうはいないと思う。
自分にとっては、村上春樹、D・フランシス、司馬遼太郎、サイモン・シンあたりかな。
変な組み合わせだが。
【おすすめ度】
★★★★(4.0)(5段階評価)